Hematozoa Vivier, 1982
目無コノイド綱(むこのいどこう、Aconoidasida)はアピコンプレックス門に属する綱の1つ。赤血球や白血球に寄生する真核単細胞生物の一群で、代表的なものとしてマラリア原虫などがある。
いずれも血球中に寄生して吸血動物に媒介される寄生虫である。基本的にはコクシジウム類と似た特徴を持っているが、常に宿主動物の体内に留まり環境中に出ることがないため、壁に包まれ環境耐性を示すいわゆる胞子の状態がない。アピコンプレックス門の生物が持っているアピカルコンプレックスという細胞内構造のうち、無性世代においてはコノイド(円錐体)が存在しないことが名の由来である。
アピコンプレックス門の下位分類は分子系統解析による再検討が行われている段階である。無コノイド綱は分子系統解析の導入以前に微細構造に基づき設定されたものであるが、主要な生物群のみを扱う限りにおいては分子系統解析でも比較的安定的なクレードを形成する。
無コノイド綱の下には2目を置く。いずれも分子系統解析で安定なクレードを形成する。
なおフクロボヤ属(Molgula)の腎嚢(renal sac)という器官に共生しているNephromyces、およびカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)の血球に寄生するCardiosporidium cionaeは、分子系統解析によりおそらく無コノイド綱に属するかそれに近縁な生物であることが示されている。[2]
古くは原生動物門胞子虫綱血虫目に分類され、1950年ごろまではそれを踏襲していた。しかしピロプラズマ類に明確な有性生殖が認められなかったため住血胞子虫から区別されるようになり [3]、一時は肉質虫に移されたほどである[4]。しかし電子顕微鏡観察によってアピカルコンプレックスという共通の細胞構造が見出されると、無性世代においてコノイドを欠くという共通点で1つの分類群にまとめられた[1]。