キンカン(金柑)は、ミカン科キンカン属 (Fortunella) の常緑低木の総称である。別名キンキツ(金橘)ともいう。
中国の長江中流域原産。俳句では秋の季語になっている。 英語などの「Kumquat」もしくは「Cumquat」は「金橘」の広東語読み「gam1gwat1 (カムクヮト)」に由来する。
カール・ツンベルクによりミカン属に分類され、1784年刊行の『日本植物誌』("Flora Japonica")においてCitrus japonicaの学名を与えられていたが、1915年にウォルター・テニスン・スウィングルにより新属として分割され、ヨーロッパに紹介したロバート・フォーチュンヘの献名として新たな学名を与えられた。
日本における2010年の収穫量は3,732 トンであり、その内訳は宮崎県2,604 トン、鹿児島県873 トン、その他255 トンとなっている[1]。
果実は果皮ごとあるいは果皮だけ生食する。皮の中果皮、つまり柑橘類の皮の白い綿状の部分に相当する部分に苦味と共に甘味がある。果肉は酸味が強い。果皮のついたまま甘く煮て、砂糖漬け、蜂蜜漬け、甘露煮にする。甘く煮てから、砂糖に漬け、ドライフルーツにすることもある。
果実は民間薬として咳や、のどの痛みに効果があるとされ、金橘(きんきつ)という生薬名でいうこともある。果皮にはヘスペリジン(ビタミンP)を多く含む。
観賞用として庭木として植えられることも多い。剪定に強いので生垣や鉢植え、盆栽にもできる。広東省や香港では、旧正月を迎える際に柑橘類の鉢植えを飾ることが多く、キンカンも好まれる。
キンカン属には4 - 6種が属する。 カンキツの分類学ウォルター・テニスン・スウィングル博士が4種、田中長三郎博士が6種と設定しており、 前者はニンポウ・フクシュウキンカンを雑種として種から外している。
樹高は2mほどになる。枝は分岐が多く、若い枝には短い刺があることがある。
葉は互生する。長さは5-7cm、長楕円形で厚みがあり周囲には浅い鋸状歯がある。葉が上側に反っていることが多い。葉柄には小さな翼があるがないものもある。
夏から秋にかけて3-4回、2-3cmほどの白い五弁の花をつける。雌しべは1本、雄しべは20本。花の後には直径2cmほどの緑色の実をつける(初夏につけた花は実がならないことが多い)。晩秋から冬にかけて実は黄色く熟する。
日本への渡来は江戸時代の文政9年(1826年)のこと。現在の中国浙江省寧波(ニンポウ、当時・清)の商船が遠州灘沖で遭難し清水港に寄港した。その際に船員が礼として清水の人に砂糖漬けのキンカンの実を贈った。その中に入っていた種を植えたところ、やがて実がなり、その実からとった種が日本全国へ広まった[2]。
キンカン(金柑)は、ミカン科キンカン属 (Fortunella) の常緑低木の総称である。別名キンキツ(金橘)ともいう。